疲れやすい人が今日の日をまともに過ごすための設計手順書(セルフマネジメント)
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疲れやすさの正体
私は診断済みの広汎性発達障害なんですが、と前置きしたうえで。
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の女性が上手に生きるための本』を最近読んで思ったのだが、私が疲れやすいのはASDだからかもしれない。 読めない空気を読むためにエネルギーを消耗している上に、 そもそも「筋肉の使い方」レベルで連動が非効率らしいので、テキトーに1日を過ごしているだけでは他人より疲労するのが当たり前。
特に問題になるのが過集中後のエネルギー切れ1。 半日くらい飲まず食わずで作業した後、糸が切れたように眠りこけることがたまによくある。
これの何が問題かというと、「生活に最低限必要な作業」もできない状態に陥りやすいということだ。 よく「歯磨きのように習慣化しましょう」と言うが、疲れすぎて歯磨きすら習慣化できないというのはよくある話である。こんなことだから私は歯髄炎になるんですね……2。
なので、私には、1日の途中で力尽きないようなスタミナコントロールがマジで必要だと思う。 時間管理? いや、「1日を設計する」くらいの勢いでいこう。そうじゃないと追いつきません(経験則)。
この記事は、あくまで「他人より疲れやすい自分が最低限の生活をこなすために」書いたメモのようなものです。 慢性疲労症候群などの病気が疑われる場合は、(こんな記事より)まず医療機関での受診をお勧めします。
今日1日をまともに過ごすためのドラッカー
自分は(特に疲労した自分は)自分の意志の通りには動かない。実質他人のようなもの。 自分のスタミナをコントロールするとは、自分が自分のマネージャーになるということだ3。
というわけで(マネジメントといえば)ドラッカーを引用する。
自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることである。…(中略)…
仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。すなわち、 ①分析である。仕事に必要な作業と手順と条件を知らなければならない。 ②総合である。作業を集めプロセスとして編成しなければならない。 ③管理である。仕事のプロセスのなかに、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない。 ④道具である。
PF ドラッカー 『マネジメント[エッセンシャル版]』 (ダイヤモンド社, 2001) (Kindle版 位置No.888-896)
注意すべきは、「どういう成果が欲しいか」から逆算しなければならない、ということ。道具から考えてはならない。
ここでは、欲しい成果を「生活に最低限必要な作業を行う」に設定して、1日を設計していきたい。
1. 分析
まずは日々何をやっているか分析する。
- (1日でいいから、)その日何をやっていたか記録してみる。
- で、その中から「生活に最低限必要な作業」「その他の最低限必要な作業」をリストアップする。
- その過程で要らない作業は捨てていく。
一日を分割して記録する
言うは易しで、1日を記録するのが結構大変だ。
なぜ大変か、なぜ覚えていないかというと、1日の中で起こることがあまりに多すぎるからだ。 多すぎるものは分割しよう。 1日を大枠で切って、その中で起こったことを整理する。
まず睡眠時間は誰にでも必要なので、それは使える時間から差し引いていい。 昼間フルタイムで働いている人なら、勤務日(平日)の時間は以下のように5枠に区切られると思うので、その枠の最後に記録すればいい。
- 起床~始業(朝食・着替え・歯磨き・化粧など) →始業前にまとめる
- 始業~昼休み(仕事の段取り・仕事・メールチェックなど) →昼休み頭にまとめる
- 昼休み中(昼食など) →昼休み終わりにまとめる
- 昼休み~終業(仕事・メールチェック・仕事の段取りなど) →終業時にまとめる
- 終業~就寝(化粧落とし・夕食・歯磨き・入浴・着替えなど) →就寝前にまとめる
どうしてもここで心折れそうなら、次の「総合」「管理」「道具」を経てからもう一度戻ってきてもいいと思う。
分析の自動化
電子機器に頼れば、自分が何に時間を使ったか、ちょっとだけ自動計測できる。
スマートウォッチ
起床時間・就寝時間などの記録が自動化できる。 体調の変化と生産性の連動が激しい人は、自分の作業予測が立つ意味でも便利かも。
時間計測アプリ
何のアプリを使用していたかを自動で計測するアプリもある。 Rescue TimeとかTime Doctorがいいんじゃないでしょうかね?
これなら手動で時間管理できなくても問題ない。
出来合いのリストを利用する
例えば家事のような、一般的に発生する作業については出来合いのリストがいくつか存在するので利用できる。 これとか。
https://esse-online.jp/housework/315835
要らないタスクを断捨離する
分析過程で「要らない作業」「要らない手順」が出てきたら、即刻辞めてしまおう。4
例:
- Youtubeやまとめサイトをダラダラ見る作業が発生していた場合
サイトブロッカーを使って見れないようにしてしまう。 Chrome/Edge拡張機能ならBlockSiteがシンプル。
-
ただし、いきなり全面禁止すると禁断症状が出る場合があるので(体験談)、 時間制限式のWasteNoTimeがいいかもしれない
-
ポストから要らないチラシを出し、捨てるという手順が発生していた場合
ポストに「チラシお断り」と貼ることで、頻度を少し減らせる5
- 調理の際に野菜の皮をむく作業が発生していた場合
人参・大根は無農薬を選んで皮まで使う
- 里芋などは皮がむかれたものを買う
2. 総合
タスクの自動化を考える
分析後に生き残った作業については、まず自動化を考える。 自動化すると、人の作業が変化する(例:「掃除をする」→「自動掃除機のメンテをする」)から、先に自動化を考えて、変化後だけを検討した方が効率的だ。 機械に頼むだけが自動化ではなく、「何も考えなくても同じ成果が出るようにすること」をいう。もちろんスタミナ温存が目的である。
- 買い物の自動化→Amazonの定期便や生協の配達を使う
- 家事の自動化→食洗器・人感センサーつき電球などの便利家電を使う
- 資産形成の自動化→つみたてNISAなどで自動積立する
- 運動の自動化→階段を使う・スタンディングデスクを使う
タスクの作り方
それでも残った作業を「場所」と「時間」で束ねてタスクにしていく。
チーム作業なら、ここに「誰が」という要素が入るが、後回しでいい。
自分で決められない固定イベントから固める
- 休日
- ごみの日
- 給料日・会社の決めたノー残業デー
- カードの引き落とし日
- 〆切
などは自分では決められないことが多い。まずこれらをカレンダーに放り込んでから逆算する。
場所で区分する
- 家でやること→各部屋でやること
- 会社でやること→各プロジェクトでやること
- 出先でやること→各出先でやること
のように分けて行うとスムーズ。
作業場所が同じであれば、
- 「洗面所の排水溝掃除」と「歯ブラシを取り替える作業」は、バラバラにやるより、連続して行う方が効率がいい(捨てる予定の歯ブラシで排水溝を掃除する)
- 「シャンプーをする」と「リンスをする」は、「リンス不要のシャンプー」を使えば統合できる
といったシナジー効果があるものがほとんどだ。しかし中には、
- 「風呂掃除」と「風呂の防カビ燻煙」は、同時にはできない
という排他性のある作業もある。こういう場合は日か時間をずらす。
時間で区分する
一日の区分としては、「分析」の時に使った時間枠をそのまま再利用できる。 その後、週ごと、月ごとにすることを決めていく。
こうして「やる時間と場所」が決まったタスクを「定期タスク」と呼ぼう。 定期タスク化するのは、それについていちいち「いつやるか?」を検討する作業を省き、スタミナを温存するためである。
不定期タスク
そうやって整理すると、決まった時間に行うものではない不定期タスクが出てくる。 不定期タスクは不定期タスクで、あまりスタミナを消費しなくていいように手順を整理しておく。
3. 管理
この段階でやっと時間管理の出番だ。
定期タスクはリマインドする
定期タスクを頭の中だけで覚えるのは無理である(経験則)。 フックになる物自体がなければ、明記し、適宜リマインドする。
作業場所の近くに貼っておく
家電なら家電の近くに取扱説明書を備えておくのがいい。
他にもたとえば、以下のようなものは玄関扉に貼っておく。
- 忘れ物防止リスト
- ごみの日リスト
- 出かける前にやることリスト
同じ場所での作業に使うもの、たとえば以下のようなものは同じく玄関にまとめたほうが効率的だろう。
- 出かけるときの持ち物(鍵・マスク・コート・ハンカチ)
- 郵便物処理用のもの(個人情報保護スタンプ・はさみ)
Googleカレンダーに入れて通知する
出先・オンライン上で行うものや、いちいちその辺に書いてられないタスクはGoogleカレンダーに入れてしまう。 日ごと・週ごと・月ごと・年ごとに繰り返しリマインドができるから便利。
不定期タスクは休憩を管理する
ここが一番肝心のところだが、スタミナ切れにならないためには休憩管理が大事なのである6。
ポモドーロテクニック(25分作業して5分休む)
これが不定期タスクに良く効く。
5分の休憩時間を強制的に取ってしまうことで「過集中でバタンキュー」をかなり阻止できる。
わざわざポモドーロタイマーを買う必要はない。キッチンタイマーで十分。 ただし、料理用と兼用してしまうと、時間を再設定するのが面倒で続かなくなるので(経験則)、可能ならタスク処理専用のものを買った方がよい。
音を出したくない状況なら、タニタの振動式キッチンタイマーがオススメ。
タニタ バイブレーションタイマー クイック ホワイト TD-370N-WH — 楽天市場、Amazon、Yahooショッピング
予定通り実行できているか管理する
Googleカレンダー(承前)
タスクを完了できているか否かで一応管理できる。シンプル!
管理の外部化
これも全部自分で管理する必要はない。一部は(抵抗が無ければ)外部化してしまおう
- 健康状態の管理→健康診断・定期健診(特に歯科・眼科)
- 金銭管理の外部化→家計簿アプリ・預金残高
- 勉強管理の外部化→資格試験・模試
うまく行ってないタスクを置換する
継続できていないタスクがある場合、理由を分析したうえで、別のタスクで置換してみる。
例えば私の場合、昼食後に歯を磨く習慣は根付かなかった(あんまり洗面台が空いてないんだよね)。 次善策でしかないが、昼食後にキシリトールガムを噛むようにした。それなら継続できた。
4. 道具
ここまで来ると細分化するので逐一紹介はしないが、道具の選び方で気を付けていることだけメモ。
- 慣れたもの・シンプルなものを利用する
先述のキッチンタイマーがそれ。道具の使い方を習得するコストを下げるため。
-
また、一般的にシンプルなものは壊れにくい。
-
ただし、習得の効果が大きいものは多少複雑でも学ぶ価値がある(プログラミングとか)
-
入手しやすいものを利用する
一点物より量販されているものがよい
-
道具が手に入らずに挫折するのを防ぐため。
-
他と互換できるものを利用する
入手状況に依存するのを防ぐため。
まとめ:今日の日をまともに終わらせるために
1日の手順を洗い出して設計するのは、最初はちょっと大変だ。 でも、最初から完璧にする必要はないし、いちど設計してしまえばあとはメンテだけだし、 自分で自分をマネジメントすることで確かに7一日の最後にスタミナがちょっと残るのを実感できるようになってきた。 変な時間に泥のように眠ってしまうのも今では3週に1回くらい。
体力も気力も有限だ。ご利用は計画的に。
参考になった本
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の女性が上手に生きるための本
著者: 沢口 千寛
出版社: 翔泳社(2021年9月8日)
対処法がものすごい具体的。発達障害でなくても「疲れやすい人」なら一読の価値があるかと。翔泳社さんでPDF版も買えます。こっちのが取り回しがいいかも。
マネジメント
著者: ピーター・ファーディナンド・ドラッカー / 翻訳: 上田惇生
出版社: ダイヤモンド社(2001年12月)
独学大全
著者: 読書猿
出版社: ダイヤモンド社(2020年9月30日)
「勉強時間を作る」という点で参考になります。
Footnotes
-
アプリの「ウマ娘」をされている方には、「掛かり」が発生しやすい、といえば分かりやすいだろうか。一定時間ペースが上がるが、スタミナを過剰に消費する状態異常のことである。 ↩
-
なんかもうホントこの世の終わりみたいな痛みだったので、もう誰も苦しまなくて済むよう別途記事を書くつもり ↩
-
「ウマ娘」というゲームをやり始めて一番良かったのはマネージャーとしての視点を得られたことですね……体調管理、やる気管理の大切さがよくわかります。育成対象がかなりリアリティ(人間味)のあるキャラクターだからかな? ↩
-
これは睡眠の質や血行とのトレードオフになるので人によると思うが、私は(どうあがいても)湯船で寝てしまうので「湯船につかる」という手順は思い切って断捨離し、シャワーだけにした。危ないので…… ↩
-
完全なゼロにはならない ↩
-
「ウマ娘」でいうと回復スキルのようなものだ。終盤ヘロヘロになってから休憩しようとしても手遅れで、やはり作業中盤に休憩するのが一番効く ↩
-
週に3日くらいは ↩